懐中電灯を消し、月明かりを頼りにして、一番後ろの席、倉馬の机の周りを囲んで、咲良が背中からナップザックを下ろした。
「えーっと、紙と筆記具・・・・・・あ、そうだ」
がさがさとナップザックの中をあさって、ルーズリーフと筆箱を取り出し、机にポンと置いた後、ひらめいたように自分のロッカーへ向かっていった。
「何をひらめいたんだろう? ・・・・・・げっ」
龍矢は首をかしげながら咲良のロッカーを見た。すると、自分にとって、嫌なものが目に入ってきた。思わず目をそらそうとしたとき
「ほら、やっぱり伝説といえば、昔のことでしょ? だったら、この、古典の教科書が必要だと思って。何か役に立つかもしれないじゃん?」
咲良はそう言いながら皆の方へ向きなおし、右手で古典の教科書をかざしている。
「教科書もって帰ってないのかよ。あ、そうだ、リューヤ、これを機会に古典系嫌いを克服したらどうだ?」
「んー・・・・・・考えておく」
龍矢は頭を垂れながらそう言った。
「それじゃあ、気を取り直して、今日のプランの確認しようぜ」
倉馬はそういうと、咲良が持ってきた筆記具を手に取り、自分の席に向かった。
一通りのプランはこのような感じだ。
壺の在りかを突き止め、その際に「光線を見た」という噂が本当かどうか確かめる。この二つだけなのだが、おそらくそう簡単にはいかないと思っている。一応壺の在りかは、生徒が入れない、立ち入り禁止エリアから先に探すつもりである。
「とりあえず携帯電話は電源入れておこうな。あと、懐中電灯の乾電池も。なんかこの学校広いし、周りは木ばっかりだし、絶対なにか起こりそうだぜ」
龍矢は半ばワクワクしながらそう言った。
「そうだな。校舎より、この高校のグラウンドとか裏山に壺があるかもしれないしな」
倉馬はポケットから、学校の簡単な見取り図を取り出した。ガサガサと、紙を開く音が教室中に響き渡っている。
「それじゃあ、校舎は後回しにするの? 裏山、結構広いからなぁ。謎の光線とか見えるかな?」
安麗は見取り図を見ながら言った。
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