「んー、校舎内で立ち入り禁止な場所だと地下くらいだもんな」

 銀龍高校は、L字型の校舎で、全部で階段が3ヶ所あり、地下階を合わせて全部で5階ある。地下室には、ボイラー室など、機械が沢山あり危険なため、生徒たちは立ち入り禁止なのだ。とりあえず、地下階を調べたあと裏山へ探しに行くことになった。教室を出たのは、2120分頃であった。


教室を出ると、まずは地下階へ続く、ここから一番遠い場所にある階段を目指した。相変わらず、龍矢たちの歩く足音しか聞こえず、不気味なほどしんとしている。廊下の突き当りを右へ曲がり、そこからまっすぐと階段のある方へ向かう。一直線に続くその廊下は、月明かりと、懐中電灯で照らされていても、一番端のほうは真っ暗で見えず、まるでどこかに通じる道のようにも感じられた。階段までたどりつく間、誰も話さなかった。

 階段へ着いた龍矢たちは、一度立ち止まって、皆で向き合った。

「あー、やっぱり夜の学校って、雰囲気あるよな」

龍矢は懐中電灯を持ち替えながら言った。

「うん。なんだろう、オカルト好きの咲良にとっては、ワクワクしてしょうがないんじゃない?」

「うえ? 私? んー・・・・・・やっぱり雰囲気あっていいなとは思ってるけどね、これで何も起こらなかったらがっかりだよ」

「地下の方がもっと雰囲気あるぜ。あー、懐中電灯ひとつじゃ足りなかったかな? なんか暗すぎないか?」

「あ、俺も思った。だって懐中電灯当てても、なんか明るくなりづらい感がある。もっと明るくなってもいいのになぁ」

 そんな会話をしながら、階段を降り始めた。踊り場には月明かりが差し込んでいて、床が光って見える。カツーンカツーン・・・・・・龍矢たちはひたすら階段を降りた。階段、踊り場、階段、踊り場・・・・・・しかし、何か変な感じがする。いくら降りても、なかなか地下にたどりつかない気がする。いくら教室が最上階にあったとしても、いくらなんでも、6階分くらいは降りたような気がする。

 「・・・・・・なあ、おかしくないか?」

龍矢の言葉で、皆は静かにうなずいた。ほかの3人も異変に気づいていたのだ。龍矢たちに緊張が走る。階段を降り始めたときから、まるで冷たい冷気にまとわり憑かれているような、そんな感じがしていた。

「ねえ、ちょっと踊り場の階の表示を調べてみるね」

安麗はそういうと、踊り場まで行って、おそるおそる階を確かめた。

「・・・・・・うそ・・・・・・! 皆、ちょっと来て・・・・・・!」

安麗の驚きが混じった言葉に皆が息を呑む。そして、踊り場に着いたとき、皆が驚きを隠せないしぐさをした。

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