「いや、コレは・・・明らかにおかしいだろう・・・・・・!」
龍矢は、階が表示してある場所に、懐中電灯を当てながら言った。
「なんで、ここがまだ1階と2階の間の踊り場なんだ?!
明らかに地下にたどり着くくらいに降りたはずだ」
まさかこんなに早く、異変が起こるとは思ってもみなかった。それでも龍矢たちは信じられなくて、階段を降り続けた。しかし、やっぱりどれもこれも1階と2階の踊り場の繰り返しだった。それでは逆に、上ってみたらどうだろう?倉馬の提案に乗り、登ったのだが・・・・・・。
「・・・・・・なんで上に登ったら普通に4階までいけるんだよ」
「なんか、まるで私たち、この校舎につかまっちゃったみたいね。外にいけないようにしているのかな?」
しばらく階段の場所で考え込んでしまった。登るときは普通なのに、降りるときだけおかしい。地下に行かせないようにしているのか、それとも外に出られないようにしているのか、どれを考えてもこの校舎には不思議な力があることには変わりない。このままでは、壺を探すどころか、計画がちっとも進まない。もう、教室を出てから20分は経っている。封印された時刻は定かではないが、まだこれだけ異変が起きても、例の光線は出ていない。今のところ壺の在りかは分からないけれども、異変は起きるものだという立証はできた。
龍矢たちは仕方なく、踊り場でしばらく作戦を練り直そうとしたとき、
―ピカッ―
一瞬ものすごい光線が龍矢たちをよぎった。と同時に、激しい地響きがしてきた。ゴゴゴゴゴ・・・大きな音と、激しい振動で、今にも校舎が崩壊しそうな勢いである。
「とにかくここは危険だ、今なら外に出られるかも!とりあえず昇降口にたどり着けるよう、念じながら行ってみようぜ!もう直感に頼るしかねぇ!」
龍矢はそういうと、懐中電灯を強く握り締め、皆にはぐれないよう、手をつなぐように言った。龍矢たちは手をつなぎながら必死に階段を駆け降りる。時々壁が崩れ、破片が龍矢たちを襲う。それでも、がむしゃらに走り、走った。無我夢中で必死になった。しかし、気づいたときには、昇降口まで来ていた。わけが分からないまま、龍矢たちは昇降口の重いガラスの扉を開け、外に出た。息を切らしながらも、校舎の方へ目をやると、どうしたことか、何事もなかったかのように校舎が堂々と、しかし静かに構えている。
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