裏山の入り口に到着した龍矢たちは安麗の言った、光っている場所にすぐ気がついた。光っている場所を見てみると、蝶の鱗粉ほどの細かい粉がこぼれるように一箇所にたくさん落ちていた。龍矢が鱗粉に触れようとしたとき、生暖かい風が吹き、その粉がまるで、粉雪がやわらかく空を舞うように舞い、次第に一本の光の道を作った。龍矢たちは一瞬戸惑ったが、ここまで来たのなら、ここで退くわけにはいかず、半ばヤケになって、その道をたどることにした。

 裏山に入ると、木々がざわざわと風に鳴らされ、月明かりによって作られた影が暴れだした。今にも何か出てきそうな雰囲気で、気を緩めることができず、月明かりと懐中電灯の明かりだけを頼りに、ゆっくりと踏みしめて奥へ奥へと進んでいった。裏山は、土と草花の香りが充満しており、いい匂いが広がっていたが、夜のこの時間では、それが逆に龍矢たちを恐れさせた。月明かりと懐中電灯のみの明かりで視界が狭いのにもかかわらず、香りは強い。それは、普通の人でも怖くなるだろう。

 進んでいくうちに、裏山の中腹あたりに来たのだろうか、木々の間から、少し小さくなった銀龍高校がわずかに見える。光の道は暗い中でも輝きを失わず、まだまだ続いているようだった。

「今、何時ごろ?」

先頭を歩いていた龍矢が、振り向きながら言った。

「んー、今・・・・・・あれれ?」

咲良が携帯電話を開いて時間を見てみると、なんと、ちょうど22時で止まっているではないか。明らかに22時を超えている時間なのに、なぜか、秒のカウントも止まっている。

「あ、俺の携帯も止まってる・・・・・・」

 結局全員の携帯電話が同じ状況に陥っており、電源を切ってつけ直しても結果は同じだった。

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