先ほどまで、夜の学校の裏山にいたのに、ここではまぶしいほどの太陽と、それを包み込むように青空が広がっている。龍矢たちは今の置かれた状況を把握しようと努めてみたが、あまりにも突然起こったことなので、どうしていいかも分からず、その場に呆然と立ち尽くしてしまった。

「・・・・・・あの、ちょっといいだろうか」

 その沈黙を破った声に、龍矢たちはハッと我に返り、声のしたほうに向きなおした。するとそこには、一人の人間と銀色をした龍がこちらの様子を見ていた。

「お前達は一体どこから来たのだ?」

まだ頭の上にはてなマークを浮かべている4人を目の前にして、淡々と話しかける。

「・・・・・・俺達は銀龍高校の裏山にある洞窟を進んでいて、突然白い光に包まれて気づいたらここにいたんだ」

倉馬は、質問の意味だけは理解でき、何とか説明したが、今度はあちら側のほうが頭からはてなマークを浮かべる番だった。

「やっぱりわからないよな。なんかここ、昔話に出てくるような景色してるし、どこか知らない場所に飛ばされたのかそれとも・・・・・・」

話している最中、龍矢はふと一人の男の後ろにいる、銀色をした龍に気づいた。龍のほうも龍矢の視線に気づいたのか、龍矢のほうに視線を向ける。突然話をやめた龍矢が気になり、他の3人も龍矢の方を見る。自分に向けられた視線が気になり頭をかき、苦笑いを浮かべ「いや、そんなにみんなして見るなよ」と言いながら手を振る。

「・・・・・・あの、そこに銀色の龍がいるって事は、ひょっとしてあなたは、・・・・・・琉騏?」

自信なさげに、顔に刺青を施している男を見た。男の方はというと、落ち着きを取り戻し、凛とした声を出した。

「いかにも。私は琉騏だが、何故私のことを知っている? それに、お主には私の後ろにいる龍が見えるのか?」

 風が4人と1人と1匹の間を縫っていく。後ろを振り向くと、他の3人は首を傾げていてどうやら龍が見えていないらしい。

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