皆の視線を受けた銀龍は、いささか居心地悪そうにそっぽを向く。それでもお構い無しに今まで銀龍を見ることができなかった3人は、銀龍に視線を注ぐ。それはもう、子供が珍しいものを見たときに、目を輝かせるようなキラキラした目で。その3人の行動がおかしかったみたいで、琉騏と龍矢は互いに目を合わせて、苦笑する。確かに、学校にて代々伝わった代物を見ることができたのだから、そういう風に、目を輝かすのは、無理はないだろう。むしろ当然の行動かもしれない。

「・・・・・・まったくお前ほどの能力があるのなら、そんなに苦ではないだろうに」

琉騏は苦笑交じりに銀龍に言うと、今、和菓子持ってくるから、と言って再び台所へ向かった。

 琉騏がいなくなったことで、若干気まずさを感じた銀龍は、また目をそらす。その姿を見ると、龍矢は苦笑し

「あの時、他の皆にも姿を見せていたら、よかったのにね。それにしても、人間の言葉が分かるなんて、すごいんだな」

と言うと、銀龍は少し得意そうに、そらした目を再び龍矢たちの方に戻した。

「当然だ。我は人間以外の動物の言葉も、理解することができるぞ。まだお前たちが何者かは分からないが、琉騏が家に招いた客だ。本当は霊力が高い人間でも、なかなか姿を見せないが、お前たちだけには見れるようにしてやろう。せいぜい感謝するんだな」

「はは、ちょっと偉そうだけど、俺は嬉しいぜ。ありがとな」

倉馬は素直にそういうと、銀龍は照れたように再びそっぽを向いてしまった。

「まったく。素直じゃないなお前は昔から」

ほら、と台所から持ってきた和菓子を銀龍に渡すと、琉騏は先ほどいた場所に座った。

4人が大分落ち着いたところ、琉騏は再び先ほど訊ねた質問をした。一体どこから来たのか。なぜ自分の名前を知っているのか。と。

「俺たちの学校には伝説があるんだ。その伝説というのが・・・・・」

つらつらと、龍矢は、学校に伝わる伝説、それを解明しようとし、校舎で起こったこと、それから見慣れない洞窟で起こった事を、なるべく琉騏に伝わりやすいように話し始めた。

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