琉騏は腕を組み、静かに聞いていたが、物事を整理するように口を開いた。

「・・・・・・なるほど。そのような成り行きで、こちら側に来たということか。まだ、全て呑み込めているわけではないが、とりあえず伝説では、魔術師と言われているようだが、私はどちらかというと呪術師だ」

「呪術師?!」

素っ頓狂な声を上げたのは、咲良である。その声に驚いたように銀龍が咲良を睨みつける。銀龍の視線をお構いなしに、話を続けた。

「魔術師ってのは、魔法みたいに色々人を驚かせたりするんだよね。大体、魔術師のイメージは分かるんだけど、呪術師ってのはなぁ・・・・・・なんか意外。どこで間違ったんだろうね?呪術師ってのは、あれだよね、神だとか精霊だとか、超自然的な現象を利用して、魔法みたいに使うみたいな・・・・・・」

咲良は眉間にしわを寄せ、顎に手を当てながら、そこまで言い切ると、睨みつけていた銀龍を睨み返した。

「精霊とかか。確かに魔術師は精霊とか神とか利用しなさそうだしな・・・・・・」

独り言のような声の小ささで、倉馬がつぶやいた。

「他に、伝説と実際が、違う部分はあるの?」

今度は安麗が琉騏に訊ねた。

「別にその他は特に相違点はないのだが・・・・・・その後のことは、伝わっていないのか?例えば、その後、封印された後はどうなった、とか」

 そこまで言われると、龍矢たちは中途半端なところで伝説が終わっていることに、初めて気がついた。確かに、その後は聞いたことがないし、他の龍たちはどうなったのかさえも、知らなかった。

 首をかしげている龍矢たちの様子で、語られていないということが、琉騏には分かった。

「・・・・・・そういえば、ここがどういう場所か、話していなかったな」

ハッと思い出すように目を開き、琉騏はそのことについて、話し始めた。龍矢たちも先ほどから気になっていたことなので、耳を傾ける。

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